calendar

S M T W T F S
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031   
<< October 2018 >>

categories

archives

follow me

PR

感覚

どんなに整然とした理屈にも、少なくとも10%くらいは、筋道の通らない部分や憶測に基づいた不正確な要素が含まれている。

会社の会議室や、夫婦喧嘩で交わされる議論に至っては、おそらく半分以上が自分の意思を通したいだけのための屁理屈だ。

世の中や人生は、技術者が設計して作ったものじゃない。

もともと理屈どおりにできてないのだ。

なのになぜ多くの人は何でも理詰めで説明しようとするんだろうね。

どっちでもいいことを理屈を戦わせて、議論して、そしてお互いに消耗して、飲み屋でグチるんだろうね。

なぜ、感覚は不正確で、理屈は正確だと思うんだろう。

感覚を使えば3秒でわかることをなぜ3か月もかけて分析や検討をするんだろうね。

3か月あれば、たくさんの映画を観ることができて、たくさんの本を読むことができて、いろんな写真家の撮った写真を観ることもできて、世界中を旅していろんな価値観に触れることができて、自分の感覚がさらに磨かれるのにね。



※2006年01月30日mixiに書いたものです。


メリーゴーラウンド

※筆者注 : これは2005年に書かれたものです。


女性のお客さんを相手にビジネスをしている知人から、顧客アンケートの結果をみると、とっても精神的に病んでる女の子が驚くほど多い、ってことを聞いた。

 

 

私は今、ここに1億円の現金と、25歳になる権利と、どちらかを選べ、って言われたら間違いなく(たとえそれが3億円でも)25歳のほうを選ぶけど、25歳の子には、気づいてほしいことがあるのね。

映画「櫻の園」で、女子高で生徒の喫煙が見つかって、毎年恒例だった創立記念日にチェホフの「櫻の園」を上演するイベントが職員会議の決定で中止になりそうな場面がある。
そこで、「先生にとっては毎年毎年、櫻の園は同じかも知れないけど、3年生の先輩にとっては今年がたった1回の櫻の園だ」みたいな台詞があるのね。

その1回を逃してしまうことは、すごく人生にとって大きな損失のように描かれているんだけど、それってほんとにそうかな?

人は夕方になって太陽が沈んでもびっくりしないでしょ。
それはまた朝になると太陽が昇ることを「知ってる」からだ。

夏のあとに秋になって、 冬になってすごーく寒くなっても、人は不安にならないでしょう。
それは、この冬はそのうち終わって、すぐに暖かくなる、ってことを経験的に「知ってる」から。

ところが、人生の周期は春夏秋冬よりも長い。

だから、25歳で急に人生で初めての「冬」を迎えちゃった子は、このまま春を迎えずに凍え死んでしまうような心細さに襲われる。

45歳くらいにならないとわからないかも知れないけれど、人生にも明らかに周期性があって、振り返れば暖かくなったり寒くなったりの繰り返し。


その昔、ラジオが今の携帯電話と同じくらい中高生にとってなくてはならない存在だったとき、ラジオからは、カーペンターズの「イエスタデイ・ワンスモア」が流れていた。

そのとき、文化放送の深夜番組「セイヤング」で、落合恵子さんが言ってたっけ。

人生はメリーゴーラウンド。
いいことがめぐりめぐってまたやってくる。


※2005年03月24日 mixiの日記に書いたものをリライトしたもの。
 


未来からの電話 : こんなものまで上場?

※筆者注 : これは2006年に書かれたものです。

isa335未来 「おう、1年ぶりかな?」
isa335「そうだね。こないだ電話したときはこっちは2005年の夏。ちょうど1年経って、今2006年だ」
isa335未来 「去年と言えば、警察が民営化されて、交番がコンビニになった話してたんだっけか」
isa335「あ、それ、どうなったん?」
isa335未来 「おう、おかげで夜の犯罪が減って、夜間のショッピング需要が増えて、日本経済は活性化。警察は増収増益。今や学生が就職したい企業ナンバー1に躍り出た」
isa335「それはびっくりだな」
isa335未来 「で、来年には“KOBAN”ブランドが海外進出して、パリのシャンゼリゼ通りに第1号店が開店するらしいぜ」

isa335「ふぅん、オレの時代からは考えられないな。…あ、それで、あの法案はどうなった?ええと、」
isa335未来 「あ、もしかして不倫を合法化する法案のこと?」
isa335「そそ、不倫しても税金払えば許される、ってやつ」
isa335未来 「残念ながら、ぎりぎりのところで国会で否決された」
isa335「なぁんだ」
isa335未来 「それよか、今もっと危険な法案が国会で審議されてて、世間の関心はそっちに向いちゃってる」
isa335「なにそれ?」

isa335未来 「少子化対策の画期的な切り札として提案されたんだけど、大激論になってる。先週土曜日も朝まで生テレビで喧々諤々やってたけどぜんぜん結論が出なかった」
isa335「朝生はもともと、結論なんか出ないって」
isa335未来「で、日テレがそれに対抗して、結論が出るまで話そう〜昼まで生テレビ、っていう、さらに長時間の番組を始めた。そちらの司会は、視聴率男、みのもんた」
isa335「相変わらず、みのさんも激務だねぇ…で、結論は出たの?」
isa335未来「出なかったw」
isa335「www…で、その画期的な少子化対策って?」

isa335未来「簡単に言うと、自分の子供を上場できるんだ」
isa335「ぇ?」
isa335未来「子供が生まれるじゃない?最初のうちは親が100%株主なんだけど、3年連続で学校の成績が優秀だったり、それ以外に顕著な才能を示した子供は東京証券取引所の審査に合格すると、上場できて、株価がつく」
isa335「個人に株価がつくってこと?」
isa335未来「そう。企業と同じで、将来その子が巨万の富を生み出す可能性が見出されると、株価が上がるわけ。
たとえば、いい学校に合格するとか、資格を取るとか、そういう基本的なことから始まって、スポーツとか芸術とかで非凡な才能を示してるとか、とても美少年か美人で将来人気タレントになりそうだとか、売れそうな小説とか漫画をすでに書き始めてたりすると、市場が反応する」
isa335「で、親は株式を売却することで、大きな現金収入をあげることができる、ってこと?」
isa335未来「うん、その資金で高い楽器を買ったり、留学させたり、さらに子供の才能に磨きをかけるための投資ができる」
isa335「なるほど。合理的なシステムだな」
isa335未来「ああ、こないだ芥川賞の子供部門をとった小学生がいたけど、すでにその小説、映画化も決まっているらしいから、この法案が通ってあの子が上場すれば、たぶんストップ高の連続で、親御さんも本人も一生食っていけるわけ」
isa335「芥川賞の子供部門なんてのがあるの?」
isa335未来 「ああ、株価に影響するってことで、音楽のコンクールしかり、サッカーのジュニアユース大会しかり、子役タレントのオーディオション大会しかり、子供が表彰されることに対する注目が集まって、芥川賞にも新たに子供向けの表彰枠が新設されたんだ」

isa335「でもさ、なんかヤバイ匂いを感じない?オレの時代、経営者が、従業員や顧客の利益よりも株主の利益を優先させるあまり、実力主義、成果主義とか言って効率だけを重んずる、せちがらい世の中になっちまったけど、そんな法律が成立しちゃったら、親は子供への愛情ではなく、株主利益を優先して子育てをするようになるんでは?」
isa335未来 「そうかもね。でもいいこともある、って言われてる」
isa335「いいことって?」
isa335未来 「まず、オマエの時代、子供を3人も持ってる親とか、シングルマザーとかはホントに経済的に大変で、なかなか夢もなかっただろ?」
isa335「うん、まあ経済的にはね」
isa335未来 「ただ、この制度の導入で、子供をちゃんとした人間に育てさえすればいいことがあるっていう、大きな夢が膨らんで、子をたくさん生んで育てるモチベーションが高まる。それに、子供が一流のスポーツ選手になって、将来大邸宅を買ってもらうにしても、それは10年も20年も先の話だった。それを先取りできるようになるんだぜ」
isa335「はぁ」
isa335未来 「それに、この制度が実施されると、どんどん日本国民が優秀になって日本はサッカーワールドカップで優勝するし、アカデミー賞のオスカー受賞が毎年日本映画になるとも言われているぜ」
isa335「夢のようだな」

isa335未来 「で、子供の万引きとかイジメが発覚したらすぐに上場廃止になるから、親は知的な才能だけじゃなくて、人間的にも立派なものに育てようとするから、非行も少年犯罪なくなり、平和な社会が訪れる」
isa335「そう聞くと、いいことずくめのような気もするけど。でもな、結局は金銭に引き換えるわけでしょ?そこがなんか引っかかるなぁ」
isa335未来 「そっちよりも、今、議論の的になってるのが、敵対的買収対策だね」
isa335「それって、オレの時代にニッポン放送や阪神電鉄で問題になったやつ?」
isa335未来 「当たり!子供投資ファンドみたいのが出てきて、その子の株価を買い増しして、株主総会決議権を持っちゃうと、もはや子供の将来が親の意向だけで決められなくなる」
isa335「こわいな…」
isa335未来 「度を過ぎると、自分の子供が完全に他人にのっとられるんだ」
isa335「うぁ…なんかでもな、お金を儲けたい人のマネーゲームのために子供をダシにするなんて許せないな。だって、その子の才能や努力のおかげで、株の売買で儲けた株主も、その子の一生を見守ってくれるわけじゃなくて、儲かったらバイバイ、将来その子が困っても、助けてくれないわけでしょ?」
isa335未来 「うん。でもそれはオマエの時代の株のやりとりでもそうじゃん。株価が上がっても下がっても、その企業を見守ってくれてる株主と、愛情のかけらもなくてドライに金儲けだけをしている株主とどっちが多い?」
isa335「…はぁ」
isa335未来 「と、世間では今言われてるけど、オレもオマエと同じ意見だ。愛情のかけらもなくて、金儲けだけを優先する価値観なんて早晩破綻する。いや、破綻してほしい。てか、世の中にはロジックとしては理路整然としていてもやってはいけないことってのがあるんだ。いくら正しくても感覚的に違和感があるものは、やったらマズイ」
isa335「だよな!…ありがとう。さすが未来のオレ」
isa335未来 「まあね。相変わらず毎晩飲み過ぎて金もないが、地道に生きてくよ」
isa335「なんだよ、まだそんなことしてんのか。少しは貯金でもしたら?」
isa335未来「だったら、オマエが今から貯金しといてくれないかねぇ」
isa335「いやだね。自分の飲み代くらい、自分で稼ぎな。さ、今日も飲みに行くとするかな!」


※2006年08月21日mixi

 


未来からの電話 : こんなものにも課税

※筆者注 : これは2005年に書かれたものです。


isa335未来 「今そっち何年なの?」
isa335 「2005年の夏だよ」
isa335未来「いいなあ、古きよき時代」
isa335「どこがいいのさ?」
isa335未来「まず、オレがまだ若かった」
isa335「すでに若くないんだけどね」
isa335未来「ぜいたく言うなよ。もう身体が
きかねぇよ、お前が飲み過ぎたせいで」
isa335「…そっちはどうなの、世の中は?」
isa335未来「まあ、変わってないものは変わってないけどな、またローリングストーンズのツアーが始まるし」
isa335「ストーンズは、まだやってるのか?」
isa335未来「ああでも、『笑っていいとも』は昨日最終回だったけどな」
isa335「へぇ、そうなんだ?…最後のテレホンショッキングは誰だったの?」
isa335未来「※※※※※さ」
isa335「※※※※※、まだいるのか?」
isa335未来「いるどころか、今、日本IT党の党首だよ」
isa335「IT党?」
isa335未来「知らないのか?今、連立政権の第二党だよ。彼が北方領土をロシアから買収したの、知ってる?」
isa335「そんなものまで買ったのか?」
isa335未来「何でも買うんだよ。すごいだろ?そのうち火星も買うんじゃないか、って言われてる」
isa335「ほんとか?ビル・ゲイツはどうしたんだ?」
isa335未来「ああ、最近聞かないな…なにせ今コンピュータはみんなマックになっちゃったからな」
isa335「うそだろ?」
isa335未来「バレたか。ただ、今はプレーステーション4でメールやミクシィもできるし、選挙の投票もできるから、PC持ってなくてもゲーム機でじゅうぶんだ」
isa335「へぇ、もうプレステ4があるんだ?こっちじゃまだプレステ3も発売されてないのに」
isa335未来 「ああ、今は選挙の投票はプレステかiモードでしか、できないんだよ。で、今回の選挙の争点は『不倫容認法案』だ」
isa335「なんだ、その法案って?」
isa335未来 「東名阪の経済特区に限り、配偶者以外にひとりまで恋人を持ってもいい、その代わりその恋人との食事、娯楽、宿泊などの消費行為に30%の二重異性交遊税、俗に言う不倫税っていう税金がかかります、っていう法案。つまり今まで不倫と言われてきた行為が合法化される代わりに政府がお金を取るんだ」
isa335「へぇ、誰が考えたのさ、そんなこと?」
isa335未来 「国会議員になった元タレントの××××だ。彼はこの法案を通すことをライフワークとしているんだけどね、不倫を合法化する代わりに、これで大幅な税収アップを図ろうとするアイデアが受けてるんだ」
isa335「夫婦の片方が反対しても合法なの?」
isa335未来 「それはダメ。あくまで合意が必要で、たとえば男の人の場合、奥さんが申請書にハンコ押さなきゃダメなんで、完全に自由になるわけじゃないんだけどね。でもね、以前アメリカのクリントン大統領だってイギリスのチャールズ皇太子だって不倫をしてたわけでそれをいつまでも『人の道に反することだ』と言って禁止するキレイごとだけではすまされない、っていうのを世の中が気づきはじめたっていうか…まあ、でも反対の声も強いよ」
isa335「もし黙って誰かとつきあってたら?」
isa335未来「脱税ってことになるね」
isa335「ふーん」
isa335未来「××××の試算によると、これで増えた税収で日本の高速道路の料金をタダにできるらしい」
isa335「そりゃいいな、それならどんどん不倫してくれって感じだね」
isa335未来「まあでも、内緒でやるからスリルがあったんで、わざわざ奥さんに申請書出して、国に税金納めてまでやりたいと思うかだね」
isa335「なるほどね」
isa335未来「まあ、他にもね、すべてのコンビニが##に買収されたり、野球のジャイアンツが分裂して、パ・リーグにもジャイアンツができて日本シリーズがセパ・ジャイアンツ対決で盛り上がったり、浦安市が東京都に併合されて東京ディズニーランドが
東京都に組み込まれる代わりにお台場が千葉県になったり、六本木ヒルズのなかに24時間授業やってる大学ができたり、警察が民営化されたり、いろいろあるよ」
isa335「警察も民営化されたの?」
isa335未来「ああ、今、KOBANっていう名前のコンビニがさっき言った##コンビニを追撃してるんだ。何しろお巡りさんがいるから強盗には合わないし、道を教えてもらえるし。渋谷警察なんて増収増益で羽振りがいいから、テレビCMやったりしてるよ。犯人逮捕は渋谷警察まで、ってね。もうすぐ上場するんじゃないかな」
isa335「いろいろ変わったね」
isa335未来「うん、変わらないのはストーンズだけだ」
isa335「まさに、転がる石に苔は生えない」
isa335未来「おっと、そろそろ時間だ。行かなくちゃ」
isa335「わかった。またね。またいろいろ教えてよ」
isa335未来「ああ、またな」
isa335「ハーイ、また。法案通っても不倫するなよ」
isa335未来「大丈夫さ。まだオレ結婚してないから」


※2005年07月20日mixi
2008年にisa335は結婚しました。


今日の一言 : 彼女

彼女にだって、ここ一番やらなきゃならないっていう日もあるし、疲れている日もある。

ひと目逢いたい、と言って無理して時間作ってもらった日には、ひと目逢って、ちょっとお茶しただけでも、じゃあね、またね、と言って帰る勇気を持つべし。

間違っても、仕事戻るんなら会社まで送っていくよ、とか、仕事終わるまで会社の近くのファミレスでオレ待ってるよ、とかそんなこと言っちゃだめ。

ずっと一緒にいることだけが、しあわせっていうわけじゃない。



※2004年12月14日mixiにて


今日の一言 : 彼氏

子供時代、自分の親は選べない。
養ってもらっているうちは、いかにイヤな親でもつきあっていく必要がある。

でも今、彼氏がイヤなヤツだったら、別れればいいじゃん。
ましてそれを養ってるなんて、もってのほか。


※2004年12月12日mixiにて


今日の一言 : ビッグ

ビッグな人と自分が知り合いである、ということを自慢してるうちは、ビッグじゃない。


※2006年05月09日mixiにて


今日の一言 : 3杯のワイン

3杯のワインを飲んだだけで、ソムリエになれるだろうか。

そりゃ無理だ。

たった3人のオトコとつきあって失敗しただけで、世の中のオトコは全員ダメ、と言えるだろうか。

それに、本人の好みの傾向と本人が好まれる傾向を掛け合わせた結果、その3人のオトコは同一のタイプだったりもする。

このため、1杯のワインしか飲んでないことに等しいケースも多々。

せめて赤と白くらい飲んでみてね。



※2005年12月20日mixiにて


今日の一言 : 奇跡

人が思ってるよりも、奇跡は頻繁に起きる。

その奇跡が起こる確率が1%だとしても、あきらめてしまえば、その時点で0%になる。

1%の確率しかないラッキーなできごとでも、現実に起こってしまえば、その時点で100%だ。

だから、最後まであきらめない。

実際には世の中で0.00001%以下の奇跡も、しょっちゅう起こっている。




※2006年02月15日/3月22日mixi


ウイスキーバーでハムレット scene x

bloodorange
scene 1の続き(実際には何シーンかこの間に挟まる)


デンマーク、コペンハーゲンのウイスキーバー「エルシノア」にて。
ハムレットがカウンターでひとりで飲んでいるところに、オフィーリアが現れ、となりに座る。

バーテンダー「こんばんは!」
オフィーリア(バーテンダーに会釈しながら、ハムレットに)
「ごめんなさい、ずいぶん待たせちゃって」
ハムレット「ああ、うん…久しぶり」
オフィーリア「なんかこのところバタバタしちゃってて、やっと落ち着いたの。
(バーテンダーに)あ、私、ブラッドオレンジのカクテルください」
バーテンダー「かしこまりました」
ハムレット「あ、オレ次、こないだ飲んだブローラで」
バーテンダー(微笑みながら)「ブローラ21年ですね、わかりました」

オフィーリア「ハムレット。ほんとにごめんね。電話も何度ももらってたのに。メールにも返事しなくて」
ハムレット「ああ、いいよ。忙しいみたいだったから」
オフィーリア「うん。でもハムレット、ほんとはあなたのほうがお父さんのことで大変だったんだし。ごめんね」
ハムレット「ああ、うん。でも、もう終わったことだしね」
オフィーリア「疲れてない?」
ハムレット「うん、わりと大丈夫だよ。ありがとう。て言うか、今日は忙しいのに来てくれてありがとう。どっかゴハン食べに行く?」

オフィーリア「うん。あの…じつはね、言わなきゃいけないことがあるの。
びっくりしないでね。
いつかは言わなきゃいけない、と思ってたんだけど、…私、もうひとり関係のある人がいるの。
好きな人ではないけれど、別れられない人」
ハムレット「…」
オフィーリア「私のこと好きだって言ってくれたのは、それはありがたいし、うれしいの。
でもね、メールに即レスしなかったのも、忙しかったわけじゃない。

私は、やっぱりその人とどうしても別れられないの」
ハムレット「その人って誰だか聞いてもいい?」
オフィーリア「うん、どうせわかることだから言うわ」
ハムレット(覚悟を決めたように、小さくうなづく)
オフィーリア「クローディアス…あなたのお父さんを追い出して、あなたのお母さんと一緒になったクローディアスよ。
…ごめんね、びっくりした?
私、入社して間もないころから彼の女でした。
ねぇ、私が突然、人事の時期でもないのに、海外営業部に異動になったことがあるでしょう?
あのとき一度会社にバレちゃったんだ。

私が動くことで表面上は解決したんだけど
…私もそこで別れてればよかったんだけど。
でもダメだった」
ハムレット「それって本当なの?…本当みたいだね」

(間)

ハムレット「わかった、オレの気持ちを言うよ。今すぐアイツと別れてほしい」
オフィーリア「それは無理」

ハムレット「どうして、だって好きじゃないんでしょ?」
オフィーリア「彼の決めたルールがあるの。自分は複数の女とつきあってもいいけど、私は他の誰ともつきあってはいけない。
これを裏切ったら、私、顔にあざができるほど殴られるわ。
彼はとても粘着質で、私のメールとかも全部チェックするの。
だから、あなたにもレスなんかできず、もらったらすぐ消すしかなかった。
こわかった。
あなたとのこともバレたらたいへんなことになるの。
だから、もうこれ以上続けられない」
ハムレット(立ち上がって、残りのウイスキーを一気に飲みながら)

「今すぐオレがクロディーアスに直接話しに行く」
オフィーリア「待って。彼は自分の目的のためなら何でもする人よ。あなたのお父さんがそうされたように、あなたの立場もあぶなくなる。彼は政府関係者や警察も味方につけているの。何をされるかもわからない」

ハムレット「いいよ、オレは命失ってもかまわない。許せないもの、そんなこと。

(バーテンダーに)すみません、同じものください」
オフィーリア「オネガイ、無理しないで」

ハムレット(ちょっと冷静になって)
「でもね…正直に答えてくれる?ホントはクローディアスのことが好きなの?それとも単にこわいから別れられないの?
一時はオフィーリア、すごくお前を愛おしいと思ったときもあったけど、最近、自分でも何となく、あ、無理かもな、と気づいていたんだよ。
だってさ、一緒にいてうわの空になってることよくあったし、メールの反応も三度にいっぺんだったし、何となく避けられてる気がしたのさ。
それをどうこう言うつもりはないんだけど、聞いておきたいんだ。オレのことが好きな気持ちは今もあるの?
それともクローディアス?」

オフィーリア「ごめん。それは今はわからない。むずかしい。
私の気持ちが混乱してるから。
私にやさしくしてくれたことはうれしいよ。
あなたは私がとても辛いときにも相談にのってくれたし。
私にとっては必要な存在だったの。でもそれ以上どうなのか、今は言えないわ」
ハムレット「そうか」
オフィーリア「ハムレット。これ、せっかくもらったんだけど、返すわ」
(指輪をはずし、カウンターの上に置く)
ハムレット「いいよ、持ってて」
オフィーリア「ごめん無理。ほんとうにいきなりでごめん。でもこうするしかないの。
(バーテンダーに)すみません、ごちそうさまでした」

オフィーリア、紙幣を置いて、退場。
カウンターには、ほとんど口をつけていない、氷が溶けはじめているブランドオレンジのカクテルと、ハムレットがあけた三杯目のウィスキーのグラス。
指輪。現金。

☆☆☆ このあと、有名な"To be, or not to be"の独白へ☆☆☆


原作:ウイリアム・シェイクスピア
脚色:isa335

※mixiの日記で2005年07月13日にアップしたもの。

原作では希薄だったオフィーリアのキャラクターを明確にし、また本来は父の敵がテーマだったものを、恋の敵という要素を加え、ハムレットの怒りと迷いをより強いものにしてみた。
ここは有名な「尼寺へ行け」という台詞が入る場面でもあるけど、現代にそぐわないので、あえて言わせず、ハムレットの気持ちで言わせているつもり。
原作では有名な独白のあとにこの場面が来るが、あえて順序を逆にし、この場面のあと、自分の身が危険にさらされても正義を貫いて憎きクローディアスに立ち向かうべきか否かを迷う姿をハムレットの葛藤のポイントにした長台詞に続く。
場面を通してシングルモルトウィスキー六杯くらい飲ませちゃう(笑)

シェイクスピア信者の人にはおこられそうな展開かも知れない。
ただ個人的に「ハムレット」は最も愛する作品。
その分自分の好きじゃない部分もあって、こうしてみた。


| 1/2PAGES | >>